
白米の代わりにレンズ豆・オートミール・玄米を混ぜて炊いたごはん
韓国の家庭で炊飯器のふたを開けると、思っていたごはんとは少し違うかもしれません。真っ白な白いごはんではなく、茶色い粒や豆が混ざっていて、食感も変わります。それは何かと尋ねると、たいてい同じ言葉が返ってきます。저속노화(チョソンノファ)。日本語でいうスローエイジングで、いま韓国で広く実践されている食事法です。
スローエイジングは、韓国でいま最も注目されている食のテーマです。芸能人が始めたダイエットでも、美容ブランドの企画でもありません。高齢者医療を専門とする医師の提案から始まり、家庭の食卓へと広がりました。
要点
スローエイジングの食事法とは、白米だけのごはんを、レンズ豆を中心とした雑穀ごはんに替えることです。配合比はレンズ豆2:玄米1:オートミール1:白米1。提唱したのは、当時ソウル峨山病院の老年内科にいたチョン・ヒウォン医師で、地中海食とDASH食を組み合わせたMIND食を韓国の食卓に合わせたものとして紹介されました。減量プログラムではなく、日常の食事の話です。
スローエイジングはどこから来たのか
韓国の健康トレンドは、テレビや芸能人から広がることが多いものです。ただ、この流れは一冊の本から始まりました。当時ソウル峨山病院の老年内科にいたチョン・ヒウォン医師が食事法についての本を出し、その考え方が食卓で語りやすい一文にまとまっていたのです。「お米が高価だった時代の食べ方に戻す」。
この説明が受け入れられました。かつての韓国の食卓では、麦や豆でごはんをかさ増しし、野菜が食器の大半を占め、肉が出るのはまれでした。白米と焼き肉が「頑張ったご褒美」として育った世代にとって、以前の質素な食卓のほうがよかったと聞くのは新鮮だったわけです。
内容としてはMIND食の韓国版にあたります。MINDはMediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delayの略で、地中海食と、血圧を意識して設計されたDASH食の二つを組み合わせた食事パターンです。韓国版は、パンとオリーブオイルを中心とした食事を、ごはん中心の韓国の食卓に置き換えたものです。韓国でスローエイジングが定着したのは、これが理由の一つと考えられています。
スローエイジングごはんの配合比

レンズ豆2:玄米1:オートミール1:白米1
ここからは具体的な話です。韓国のレシピサイトや家庭で共有されている配合比は、ほぼ一つに定まっています。
| 穀物 | 割合 | 役割 |
|---|---|---|
| レンズ豆(렌틸콩) | 2 | 最も多い割合。植物性たんぱく質と食物繊維 |
| 玄米(현미) | 1 | 精白した穀物に代わる全粒穀物 |
| オートミール(귀리) | 1 | 食感と食物繊維 |
| 白米(백미) | 1 | 残す。韓国のごはん茶碗であることは変わらない |
4:2:2:2と書かれている記事もありますが、約分しただけで割合は同じです。どちらの表記でも、レンズ豆がいちばん多くなります。
興味深いのは、白米を残している点です。韓国でお米をやめましょうと言っても、まず受け入れられません。全部をやめるのではなく、白米だけの状態から変えるという設計になっています。スローエイジングがブームで終わらずに定着した理由は、ここにあるのでしょう。
炊き方は普通の炊飯器で構いません。レンズ豆とオートミールは玄米より早く柔らかくなるので、玄米を先に浸水させ、白米だけのときより水を少し多めにする人が多いようです。韓国のレシピサイトでは、水加減や浸水時間について活発に情報交換が行われています。
変わるのはごはんだけではない

おかずも豆・豆腐・青菜中心に。赤身肉は控えめ
注目されるのはごはんですが、食卓全体が一緒に変わります。たんぱく質とカロリーを豆・豆腐・野菜から取り、赤身肉や加工食品、砂糖は控えめにする。韓国の家庭料理を食べたことがある方なら、これが特別な構成ではないと分かるはずです。焼き肉が日常になる前の食卓に近い形です。
つまりスローエイジングとして紹介されている内容の多くは、昔ながらの韓国の家庭料理に新しい名前がついたものだと言えます。山菜を炊き込んだコンドゥレナムルパプは何世代も前から食べられてきましたし、コンナムルクッパや、野菜がたっぷり乗ったビビンバも同じ考え方に沿っています。
食品メーカーの動きも早く、韓国のスーパーでは糖類ゼロのコチュジャンや減塩キムチが従来品の隣に並ぶようになりました。味の評価は分かれるところですが、売り場の面積が需要を物語っています。
日本で試すなら
ごはんについては、韓国の食材を揃える必要はありません。レンズ豆・オートミール・玄米・白米はスーパーで手に入りますし、配合比はそのまま使えます。食感が気になる場合は、レンズ豆を少なめから始めても構いません。韓国でも同じように調整しながら慣れていった人が多いようです。
韓国らしさが出るのは、むしろごはんの周りです。ナムルなどの野菜のおかず、豆腐、そして肉を控えめにした汁物。韓国料理を家で作っている方なら、意識しないうちにスローエイジングに近い食べ方をしているかもしれません。
最後に一点だけ。この記事は韓国で広まっている食のトレンドとして、何が食べられていて、どこから来て、どんな配合比なのかを紹介したものです。本記事は医療上の助言を目的としたものではありません。持病などで食事に配慮が必要な方は、かかりつけの医師にご相談ください。
よくある質問
韓国のスローエイジングとは何ですか?
저속노화(チョソンノファ)は「老化を遅らせる」という意味の韓国語で、日本語ではスローエイジングにあたります。精白した穀物や赤身肉を控え、全粒穀物・豆・野菜を中心にする食べ方を指します。当時ソウル峨山病院の老年内科にいたチョン・ヒウォン医師が、韓国版のMIND食として紹介しました。
ごはんの配合比を教えてください。
レンズ豆2:玄米1:オートミール1:白米1です。4:2:2:2と書かれることもありますが、約分しただけで同じ割合です。レンズ豆がいちばん多く、白米も残します。
K-POPアイドルのダイエットと同じものですか?
違います。アイドルの食事管理はカムバック前に短期間で体重を落とすためのものが中心です。スローエイジングは一般家庭が毎日のごはんをどうするかという話で、出どころも芸能事務所ではなく病院です。
普通の炊飯器で炊けますか?
炊けます。韓国の家庭でもそうしています。レンズ豆とオートミールは玄米より早く火が通るため、玄米を先に浸水させ、水を少し多めにするとよいようです。
あわせて読みたい







































